アイスランドってどんな国?─アイスランドの働き方・子育て・自然について

北欧

「ちゃんと休めて、ちゃんと働ける社会」を求めているあなたへ

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「仕事が忙しすぎて、育児を夫婦で分担できていない」 「子どもとの時間をもっと取りたいのに、残業が続いている」 「北欧の暮らしって実際どんな感じなんだろう?」

日本では「働き方改革」が叫ばれてひさしいですが、実感として社会が変わったと感じている人はまだ少ないかもしれません。そんなときにぜひ知ってほしいのが、アイスランドという国のことです。

ヨーロッパの最北西部、大西洋に浮かぶ小さな島国アイスランドは、人口わずか約39万人。ところが、ジェンダー平等・労働時間の短縮・育児制度・デジタル化・自然環境など、様々な指標で世界トップクラスを誇っています。

「人口が少ないから参考にならない」と思うかもしれません。でも、その小ささゆえに社会実験を素早く実践し、成果を出してきた国がアイスランドなのです。日本も少子高齢化、人口減少が続く地方など、参考にできる部分があるのではないでしょうか。

この記事では、アイスランドの基本情報から文化・働き方・子育て・IT事情・休日の過ごし方までご紹介します。読み終わる頃には、「こんな社会のかたちもあるんだ」と、少し心が軽くなるかもしれません。

アイスランドってどんな国?──基本情報

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アイスランドは、北大西洋に浮かぶ島国です。面積は約10.3万平方キロメートルで、北海道と四国を合わせた程度の広さがあります。

人口は約39万3,000人(2025)。これは日本の地方都市とほぼ同規模です。首都レイキャビクには国民の約3分の1にあたる約13万9,000人が暮らしています。

政治体制は共和制で、2024年には史上最年少(37歳)の首相であるクリストルン・フロスタドッティル氏が就任。また同年、女性のハトラ・トーマスドッティル氏が大統領に選出されました。アイスランドにとって女性大統領は、1980年に世界初の民選女性元首が誕生して以来、2人目です。

経済的には一人当たりGDPが約86,664米ドル(IMF2024年)と、日本の約33,000米ドルと比べても大幅に高い水準です。失業率はわずか3.4%(IMF2024年)で、経済的に安定しています。

主要産業は観光業・水産業・アルミニウム精錬など。特に注目すべきはエネルギー事情で、一次エネルギー利用の約85%が再生可能エネルギー(地熱・水力)です。住宅の約9割が地熱エネルギーで暖房されており、環境にやさしい暮らしが当たり前になっています。

アイスランドの社会制度──福祉・医療・教育

アイスランドは「北欧型の福祉国家」として知られ、国民皆保険制度と高等教育(大学まで)の無償化を実現しています。

教育の質も高く、大学卒業者のうち66%が女性というデータが示すように、男女を問わず高等教育を受けることが当たり前の社会です。

医療面でも国民全員が保険の恩恵を受けることができ、「生まれた家庭の経済状況によって人生が大きく左右される」という状況が比較的少ない社会設計になっています。

また、平均寿命は男性80.9歳・女性85.3歳で、世界第6位の長寿国でもあります(Wikipedia)。


ジェンダー平等の世界チャンピオン──その歴史と取り組み

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15年以上連続で「世界ジェンダー・ギャップ指数」1位

世界経済フォーラムが毎年発表する「世界ジェンダー・ギャップ指数」において、アイスランドは15年以上にわたって1位を維持しています。国会議員に占める女性の割合はほぼ同率、女性の就業率は80%以上です。

歴史を変えた1975年の「女性の休日」

現在のアイスランドがこれほどジェンダー平等が進んでいるのには、歴史的な背景があります。1975年10月24日、アイスランドの女性の約9割がストライキを決行しました。家事も仕事もすべてを放棄したこの「女性の休日」によって、社会機能がほぼ停止。女性なしでは社会が成り立たないことを国民全員が肌で実感しました。このストライキから5年後の1980年、世界初の民選女性元首が誕生しています。

法律で守られる平等

アイスランドでは2018年に世界初の「同一賃金認証法」が施行されました。従業員25名以上の企業・組織は、男女間の賃金が平等であることを証明する認証を取得することが義務づけられています。また、4名以上の取締役会や公共委員会では、構成員の40%以上を女性とするクオータ制も導入されています。

働き方改革の最前線──労働時間短縮の社会実験

「週4日勤務」実験の真実

「アイスランドは週4日勤務の国」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。正確に言うと、アイスランド政府と首都レイキャビク市は2015年から2019年にかけて、公共部門の約2,500人(全就業者の約1%)を対象に、週40時間から週35〜36時間への労働時間短縮実験を実施しました。

給与はそのまま、業務量も変えずに労働時間だけを短縮した結果は──

  • 多くの職場で生産性が維持または向上
  • 従業員のストレス・燃え尽き症候群が大幅に減少
  • 家庭生活・余暇の充実、職場の雰囲気が改善

この成果を受けて、現在では**アイスランドの就労者の約90%**が実質的に週36時間勤務のスケジュールへ移行しています。

結果として経済も好調

労働時間を短縮しても経済は失速しませんでした。2023年のアイスランドの経済成長率は約5%(ヨーロッパで2番目の高さ)、失業率は3%強(ヨーロッパで最も低い水準のひとつ)を達成しています。

「長く働くほど成果が上がる」という考え方とは異なる証明が、ここにあります。

日本とは真逆!!!働かない方が経済的にも、生活的にも充実するんですね!

子育てが「社会全体のこと」になっている──育児休業制度

父親も母親も同じだけ休む

アイスランドの育児休業制度は、日本と比べると根本的に異なる設計になっています。

2021年以降の制度では、父親・母親にそれぞれ6か月(合計12か月+6週間の共有期間)の育児休業が与えられます。重要なのは、自分の取得分を相手に譲ることができないという点です。たとえば「母親が12か月すべて取る」という選択はできません。どちらか一方が休まなければ、その分の権利は消滅します。

休業中の給付率は給与の約80%。経済的な不安が少ない状態で育児に専念できます。

父親の育児休業取得率は70%超

この制度設計の効果は数字に表れています。アイスランドの男性の育児休業取得率は70%を超えており(2020年)、「育休は取って当たり前」という文化が定着しています。

日本の2023年度における男性の育児休業取得率は約17%(過去最高)と報告されており、この差は大きいと言えます。

「育休を取るのは当たり前」が変えること

ポイントは、育休を「権利」としてではなく「取るべきもの」として捉える文化です。全員が育休を取ることで、採用時に「女性はいずれ育休を取るかもしれない」というバイアスも生まれにくくなります。

アイスランドでは保育施設の整備も進んでおり、育休終了後のスムーズな職場復帰を支援するシステムも整っています。

大自然と共に生きる──休日の過ごし方

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地球のエネルギーを感じる国

アイスランドは「火と氷の国」と呼ばれるほど、自然のダイナミズムが際立っています。活火山・間欠泉・氷河・オーロラ・白夜……これらすべてが一つの島国に共存しています。

アイスランドはオーロラベルトの上に位置しており、秋〜春(9月〜4月頃)には首都レイキャビクの近郊からでもオーロラを見ることができます。

温泉文化が生活に根づいている

アイスランドは日本と同様に「温泉文化」が根づいた国です。地熱が豊富なため、家庭のシャワーでも温泉水が使われています。休日には地元の温水プールやラグーンに出かけるのが、国民の一般的なライフスタイルです。

世界最大の露天温水プールとして知られるブルーラグーン(面積約8,700m²)は、首都レイキャビクから車で約45分の場所にあります。ミルキーブルーの温泉水に浸かりながら、冬には運が良ければオーロラも楽しめる特別な場所です。

ゴールデンサークルとアウトドアの楽しみ

国民はアウトドアをとても大切にしています。氷河ハイキング・乗馬・スノーモービル・バードウォッチングなど、季節ごとのアクティビティが豊富。「ゴールデンサークル」と呼ばれる観光ルートには、熱湯が噴き上がるゲイシール間欠泉や、幅約70mのグトルフォスの滝など、息を飲む絶景が続きます。

働く時間が短くなったぶん、こうした自然との時間に充てる余裕が社会全体にある──それがアイスランドの豊かさの一端です。

デジタル先進国のリアル──アイスランドのIT事情

インターネット普及率99%

アイスランドのインターネット普及率は約99%(Internet World Stats 2021年)と、日本の約85〜86%(総務省令和6年版情報通信白書)を大きく上回り、世界トップクラスです。

ブロードバンド速度でも2025年時点で世界第6位にランクされており(技術エコシステム調査)、デジタルインフラの水準は非常に高いと言えます。

行政サービスのデジタル化

アイスランド政府は「island.is」と呼ばれる統合デジタル行政プラットフォームを運営しており、行政機関と国民のやり取りをデジタルに集約することを目指しています。国民一人ひとりに付与された識別番号をもとに、多くの行政手続きをオンラインで完結できる環境が整っています。

また、アイスランドは欧州イノベーション・スコアボードで「強力なイノベーター」に分類されており、デジタルスキル・研究開発協力・ベンチャーキャピタルへのアクセスにおいて平均以上の評価を受けています。

スタートアップにも優しい環境

人口が少ないぶん国内市場は小さいですが、アイスランドのスタートアップは「はじめからグローバルを見る」という姿勢で展開することが多いです。EUの研究・資金調達プログラムへのアクセスも可能で、多言語対応の人材も豊富です。

また、国内のデータセンターは地熱・水力の再生可能エネルギー100%で動いており、環境負荷を最小限にした「グリーンIT」の先駆けとしても注目されています。

まとめ──アイスランドと日本の比較表

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調査してきた内容をもとに、アイスランドと日本の主な指標を比較してみましょう。

指標アイスランド日本
人口約39万3,000人(2025年)約1億2,500万人
一人当たりGDP約86,664米ドル(2024年)約33,000米ドル程度
失業率3.4%(2024年)約2.5%(2024年)
ジェンダー・ギャップ指数世界1位(15年以上連続)118位(2024年)
男性育児休業取得率70%超(2020年時点)約17%(2023年度・過去最高)
育児休業期間父・母それぞれ6か月+共有6週間(合計13.5か月)原則1年(延長可)
育児休業中の給付率給与の約80%実質約67〜80%(手取りベース)
年間平均労働時間約1,800時間台(短縮推進中)約1,611時間(OECD2023年)
インターネット普及率約99%(2021年)約86%(2023年)
再生可能エネルギー比率一次エネルギーの約85%約25%程度(2023年度)
平均寿命(女性)85.3歳(世界6位水準)87.1歳(世界トップ水準)
国会議員の女性比率約47%前後約10%前後

アイスランドは「理想的な社会」をすでに実現した完璧な国ではありません。移民女性の問題や格差など、様々な課題を抱えながら前進し続けている国です。

ただ、39万人という日本の地方都市ほどの規模で「法律を変え、文化を変え、数字で結果を出す」ことができるという事実は、私たちにとっても大きなヒントになるのではないでしょうか。

「しっかり休める社会」と「豊かな経済」は両立できる、──アイスランドはそれを証明しています。人口は少なく、国内市場規模は小さくても「グローバルを見て」「IT技術を活用する」ことで、豊かな暮らしを築いていける。

北欧の風をすこし感じながら、あなたの日常の暮らしや仕事について、改めて考えるきっかけになれば幸いです。


【参考・出典一覧】

  • 外務省「アイスランド基礎データ」(令和8年1月5日更新)
  • IMF(国際通貨基金)2024年統計
  • アイスランド統計局 2025年第3四半期
  • 在アイスランド日本国大使館「大使室より」
  • 世界経済フォーラム「世界ジェンダー・ギャップ指数」
  • Internet World Stats(インターネット普及率)
  • OECD労働統計(年間平均労働時間)
  • Autonomy・Alda「アイスランド労働時間短縮実験報告書」
  • 厚生労働省「育児・介護休業法」関連資料
  • Wikipedia「アイスランド」(参照日:2025年2月)

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