北欧のデザインやライフスタイルに惹かれる方なら、一度は「なぜ北欧の人たちは、あんなに自立していて心豊かなの?」と疑問に思ったことがあるかもしれません。その答えの一つは、子供の頃からの「お金との付き合い方」にあります。
はじめに:子どもにお金のことを話すのはいけないこと?
「子供にお金のことを教えたいけれど、何から始めたらいいのかわからない」 「将来お金に困らないために、どんなことを教えたらいいのだろう」
そんな不安を抱えていませんか?日本では「お金の話はタブー」という空気感がいまだにありますが、幸福度が高いことで知られる北欧諸国では、お金の教育は「自分らしく自由に生きるための権利」だと考えられています。
この記事では、世界一とも言われるフィンランドの教育現場の事例や、スウェーデンのデジタルマネー事情などを踏まえ、日本の家庭でも今日から取り入れられる、心豊かな「生きる力」を育むヒントをご紹介します。
フィンランドに学ぶ「社会とつながる」マネー教育
北欧の中でも教育大国として知られるフィンランドには、「Yrityskylä(ミリ・シティ)」という世界的に評価の高い経済教育プログラムがあります。これは、小学6年生と中学9年生のほぼ全員が参加する体験型の学習です。
- 「社会の縮図」で働く体験: 子供たちはミニチュアの街で、銀行員、店員、市長などの役割を担い、実際に働いて「給料」をもらいます。
- 「税金」と「公共」を学ぶ: 給料からは税金が引かれ、そのお金がどのように街のインフラ(図書館や公園)に使われるかを学びます。
- 体験から学ぶ:参加して自ら体験することで、主体的に働くことや得られた給料で消費を行うこと、納税によって街が支えられていることを学ぶことができます。
【日本の家庭でのヒント】 単にお小遣いをあげるだけでなく、「このお金はどこから来て、どう社会に回っているのか」を夕食の時に話してみませんか?「パパやママが働いたお金でこの美味しいパンが買えて、パン屋さんはそのお金で次のパンの材料が買えるんだよ」といった、小さな循環の物語を伝えることから始めてみましょう。
また、日本でも同様の取組をしている施設や機関がありますので、機会を見つけて参加してはいかがでしょうか。
デジタル時代を生き抜く「見えないお金」の管理術
スウェーデンやノルウェーは、世界で最もデジタル化が推進されている地域の一つであり、キャッシュレス化も非常に進んでいます。子供たちは幼い頃から、物理的なコインではなく「数字」としてのマネーに触れています。
- 子供専用の管理アプリ: 北欧の多くの家庭では、銀行が提供する子供向けアプリを利用しています。親がスマホからお小遣いを送金し、子供はアプリ内で「貯金目標(レゴが買いたい、など)」を設定して管理します。
- 「透明性」が自立を生む: 残高が常に可視化されているため、無計画に使うのではなく「あといくらで目標に届くか」を子供自身が考える習慣が自然と身につきます。
- 投資に触れる:デンマークやスウェーデンは家計金融資産保有率に高いです。普段から投資に触れる機会は多いです。
【日本の家庭でのヒント】 日本でもプリペイドカードやスマホ決済を利用する機会が増えています。「見えないから怖い」と遠ざけるのではなく、「親子で一緒に残高画面を見る習慣」を作ってみましょう。グラフで支出を確認できるアプリなどを使って、お金の動きを「見える化」することが、自立への第一歩になります。
また、子供の証券口座を開設して、少額から運用してみてはどうでしょう。一緒に画面を眺めることで投資は価格が変動すること、税金が発生すること、企業の業績や社会動向と連動していることなど学びを得られます。こちらも「見える化」によって体験的に学ぶことができます。
「ラーゴム(Lagom)」の精神で選ぶ、本当に必要なもの
北欧の哲学に「Lagom(ラーゴム)」という言葉があります。マネー教育においても、単に「貯める」ことが目的ではなく、「自分にとって何がちょうどいいのか」を見極める力を養います。
- 長く使えるものに投資する: 安いものを使い捨てるのではなく、少し高くても長く愛せるもの(一生ものの家具や食器など)を選ぶ文化があります。また、壊れたものは直して使うのが当たり前。環境教育の一つでもあります。
- 必要なものだけ買う:本当に必要な最小限のものを買い、不用品はリサイクルショップへという流れがスウェーデンでは一般的です。見栄を張ることもなく、無駄にすることもなく、「ちょうどいい」消費が身につきます。
【日本の家庭でのヒント】 買い物をする際、子供に「これは、ずっと大切にしたいもの?それとも、今すぐ欲しいだけのもの?」「これは本当に必要なもの?」と問いかけてみてください。また、最初に欲しいと思った時は買わず、時間がたっても欲しいと思っていたら買おうという提案はどうでしょうか?自分にとっての「ちょうどいい量」を知ることは、将来の無駄遣いを防ぎ、満足度の高い人生を送るための強力な武器になります。
まとめ:お金の教育は「自由」をプレゼントすること
北欧式のマネー教育は、決してお金儲けのスキルを教えるものではありません。 それは、「自分の人生を、自分の意思で選択できる力」を育むプロセスです。
- 社会の仕組みをポジティブに語る
- デジタルツールを味方につけて可視化する
- 「自分にとっての適量」を一緒に考える
まずはこの3つの中から、できそうなことを一つ選んでみてください。親子で楽しくお金に向き合う時間は、家計そのものにもプラスになりますし、北欧の「ヒュッゲ(居心地の良い時間)」のように、家族の絆を深める素敵なきっかけになるはずです。
子どもたちにもLagomな心地よい暮らしを。


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