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フィンランドのキャラクターといえば、まっさきにムーミンが浮かびますよね。
丸くて白くて、いつもどこかのんびりしている。日本の雑貨屋さんでも、マグカップや文房具で毎日のように見かけます。
でも——世界で最初のムーミンのアニメが、日本で作られたものだとご存じでしょうか。1969年のことです。私も調べていて「そうだったの!」と驚きました😳
日本とフィンランドのキャラクターには、50年以上の付き合いがあるのです。
今日は、ムーミンの物語の背景と、意外なフィンランド生まれのキャラクターをご紹介します。読み終わるころには、いつものマグカップが少し違って見えるかもしれません。
ムーミンは、戦争が終わった年に生まれた

まず、意外と知られていない話から。
ムーミンの最初の本『小さなトロールと大きな洪水』が出版されたのは、1945年。第二次世界大戦が終わった、その年です。
作者のトーベ・ヤンソン(1914–2001)は、ヘルシンキの芸術一家に育ちました。お父さんは彫刻家、お母さんはグラフィックデザイナーで挿絵画家。絵に囲まれて育った人でした。
もうひとつ、日本ではあまり語られないことがあります。
ムーミンの物語は、フィンランド語ではなく、スウェーデン語で書かれています。
フィンランドには、フィンランド語とスウェーデン語という2つの公用語があります。トーベ・ヤンソンは、そのうちスウェーデン語を母語とする人々の出身でした。人口としては少数派にあたります。
「フィンランド生まれなのに、スウェーデン語?」と不思議に思われるかもしれません。でも北欧の国々は、言葉や文化がゆるやかに重なり合っています。国境でくっきり分けられないところが、この地域のおもしろさなのだと思います。
ちなみにムーミンは、妖精ではなくトロールです。最初の本の原題も、そのまま「小さなトロールたち」でした。
ムーミン谷の住人たち
ムーミン谷の魅力は、住人たちがみんなバラバラなことだと思います。せっかくなので、まとめてご紹介しますね。
ムーミン一家
| 名前 | どんな人 |
|---|---|
| ムーミントロール | 主人公。やさしくて好奇心旺盛、正義感も強い一人息子 |
| ムーミンパパ | シルクハットがトレードマーク。若い頃は冒険家で、いまも夢見がちなロマンチスト |
| ムーミンママ | 赤白しま模様のエプロンと黒いハンドバッグ。誰が来ても受け入れてしまう寛容さ |
谷の仲間たち
| 名前 | どんな人 |
|---|---|
| スナフキン | 自由と孤独と音楽を愛する旅人。ムーミントロールの親友 |
| リトルミイ | 毒舌で物おじしない女の子。ミムラ一族で、なんと20番目の子 |
| ミムラねえさん | ミイの姉。おしゃれ好きで、たまねぎのような結い髪 |
| スノークのおじょうさん | ムーミントロールの想い人。原作では感情で体の色が変わります |
| スノーク | おじょうさんの兄。仕切りたがりで、少し理屈っぽいところが |
| スニフ | 臆病でわがまま。光るもの、お金になるものに目がない |
谷の不思議な存在たち
ムーミンの世界がただ可愛いだけで終わらないのは、こういう存在がいるからだと思います。
| 名前 | どんな存在 |
|---|---|
| ニョロニョロ | 白い靴下を逆さにしたような姿。電気を帯び、夏至の日には決まった島に集まります |
| モラン | 触れるものを凍らせてしまうお化け。ずっと温まりたいと思っているのに、近づくと凍らせてしまう |
| おしゃまさん(トゥーティッキ) | 赤白の横じまセーター。落ち着いていて、何を考えているのか少し分かりません |
| ヘムレンさん | 収集家。切手や植物や昆虫を集めていて、没頭すると周りが見えなくなります |
| フィリフヨンカ | 掃除好きで几帳面。でも神経質で、少し気が弱い |
| スティンキー | いたずら好きのトラブルメーカー。うそも盗みも平気 |
※ヘムレンさんとフィリフヨンカは、実は個人の名前ではなく種族の名前です。だから作品ごとに違う「ヘムレンさん」が出てきます。
※スティンキーは、コミックスとアニメには登場しますが、小説には出てきません。「原作を読み返したのに見つからない」というときは、そのためかもしれません。
他にも公式サイトにはたくさんのキャラクターが紹介されています。詳細を知りたい方は公式サイトをのぞいてみてください。キャラクター診断なんかもありますので、ご自身がどんなキャラクターか見てみると面白いと思います。ちなみに私がやってみたら、「ムーミンパパ」でした🤣
スナフキンとリトルミイの、知られざる関係
日本でとりわけ人気が高いのは、やはりスナフキンでしょう。
帽子をかぶって、ギターを持って、ひとりで旅をしている。口数は少なく、たまに口を開くと妙に鋭いことを言う。群れないけれど、冷たいわけでもない。ムーミンとの友情は続いているのに、春が来ればまた出ていってしまう。
この「そばにいなくても、友だちでいられる」という距離感が、長く愛されてきた理由なのかもしれません。誰かとずっと一緒にいることだけが親しさではない、と教えてくれる存在です。
そして意外なことに、スナフキンとリトルミイは、お母さんが同じきょうだいなんです。スナフキンの母親はミムラ一族。あの正反対に見える2人が家族だというのは、日本ではあまり知られていない気がします。
さらに興味深いことに、ムーミントロールとリトルミイの両方に、トーベ・ヤンソン自身の姿が投影されていると見る人もいます。おだやかな面と、遠慮なくものを言う面。誰の中にも両方あるものですよね。
「ノンノン」と呼んでいた方へ
ここで、世代によって記憶が分かれる話をひとつ。
スノークのおじょうさんには、原作にもともと名前がありませんでした。それが日本のアニメ化にあたって「ノンノン」と名づけられ、のちの『楽しいムーミン一家』では「フローレン」に変わります。しかもこの変更は、原作者側の意見によるものだったといいます。
「ノンノンだったのに」と思われた方、記憶違いではありません。呼び名のほうが変わったのですね。
(ムーミンの物語をじっくり読み返してみたい方は、日本語版の原作もそろっています。)
世界で最初のムーミンアニメは、日本で作られた

冒頭でも触れた話を、もう少しだけ。
1969年、フジテレビの『カルピスまんが劇場』という枠で、日本製のアニメ『ムーミン』の放送が始まりました。全65話。そして、これがアニメーションとしては世界初のムーミンだったとされています。
北欧の物語が、はるか遠くの日本で最初に動き出した。なんだか不思議な縁ですよね。
1972年には新しいシリーズも作られ、このときスナフキンの見た目も少し変わりました(髪が茶色になり、帽子に花飾りがつきました)。世代によって「自分のスナフキン」が違うのは、このためかもしれません。
日本人がムーミンにこれほど親しみを感じるのは、半世紀以上にわたって、テレビの中で一緒に育ってきたからなのでしょう。
ムーミンマグという、日本での楽しみ方
日本でムーミンに親しむ方法として、いちばん身近なのがムーミンマグではないでしょうか。
これはフィンランドの食器ブランドアラビアが作っているもので、季節や物語の場面ごとに新作が生まれ、世界中にコレクターがいます。我が家の食器棚にも、いつのまにか何個か増えていくタイプのやつです😅
朝のコーヒーを、谷の住人と一緒に飲む。ちょっと贅沢な一日の始め方だと思います。
お気に入りの一枚を探してみたい方は、こちらからのぞいてみてください。


日本にいながら、ムーミン谷へ
埼玉県飯能市には、ムーミンバレーパークという施設があります。「メッツァ」という北欧の暮らしをテーマにした複合施設の中にあり、湖のほとりにムーミン屋敷が建っています。
フィンランドまで行かなくても、あの谷の空気に触れられる場所が、日本にあるのです。週末に少し足をのばしてみるのもいいかもしれませんね。(お出かけの前に、営業日や料金は公式サイトでご確認ください。)
実は、あの鳥もフィンランド生まれ
スマートフォンで一度は見たことがある、あの怒った顔の鳥——アングリーバード。
実はあのキャラクターもフィンランド生まれです。
ヘルシンキ発のロビオという会社が、2009年にリリースしたゲームアプリでした。世界中で大ヒットして、いまでは映画にもなっています。
静かな谷でのんびり暮らすトロールと、パチンコで飛んでいく怒れる鳥。ずいぶん遠い2つに見えますよね。でも、どちらも同じ国から生まれています。
1945年の小さな出版社から出た絵本と、2009年のスマートフォンのアプリ。森と湖の国、というイメージだけでは収まらない。「静かな物語」と「世界的なゲーム」を両方生んでしまうのが、フィンランドという国のおもしろさなのだと思います。
他にもいるフィンランド発のキャラクター
フィンランドにはほかにも物語の住人がいます。
クリスマスの季節にやってくる小人のトントゥ。フィンランドの家庭では、サウナや納屋にも住んでいると言い伝えられてきました。絵本作家マウリ・クンナスが描くトントゥたちは、日本でも紹介されています。
作家ハンヌ・マケラが生んだフーさんという、少し風変わりなおじさんの物語もあります。
そして先ほどのアングリーバード。
……こうして並べてみると、やっぱりムーミンの存在感が圧倒的ですね。この国の物語の中心に、あの白いトロールがいることは間違いなさそうです。
まとめ:静かな国が、たくさんの物語を生んだ

フィンランドのキャラクターを並べてみると、そのふり幅に驚きます。
- ムーミン ── 戦争が終わった1945年、スウェーデン語で書かれたトロールの物語
- スナフキン ── そばにいなくても友だちでいられる、という距離の教え
- リトルミイ ── 小さくても、言いたいことは言う
- アングリーバード ── 静かな国から飛び出した、世界的な怒れる鳥
森と湖しかないと言われることもあるこの国が、これほど豊かな物語を生んできた。人口550万人ほどの、決して大きくない国なのに、です。
長い冬と、静かな時間。ものを考える時間がたっぷりあることは、もしかしたら物語にとって、いちばんの肥料なのかもしれません。
そして、1945年のこと。
世界が戦争を終えたその年に、この谷の物語は始まりました。そこで描かれたのは、誰かをやっつける話でも、どちらが正しいかを競う話でもありません。変わり者たちが、それぞれのまま、ひとつの谷で暮らしているという、ただそれだけの世界でした。
スナフキンは春になると出ていくし、リトルミイは遠慮なくものを言うし、モランは誰にも近づけません。それでも、誰も追い出されない。
戦争が終わった年に、人を責めない物語が生まれた。そのことを思うと、あの谷がなぜ80年も愛され続けているのか、少し分かる気がします。
今朝のコーヒーを、どのカップで飲みましょうか。
一息ついて、がんばりましょ🍀
Fikaな暮らしでいいじゃない☕️
参考
- トーベ・ヤンソン/ムーミン:Moomin 公式(moomin.com)、tovejansson.com、Svenska Yle
- ムーミンの権利:Moomin Characters Oy Ltd、Rights & Brands
- 日本のムーミンアニメ史:ムーミン公式サイト(moomin.co.jp)
- ムーミンバレーパーク:ムーミン公式サイト、メッツァ公式
- アングリーバード/ロビオ:AFPBB、日経xTECH
※人物・施設・流通・価格の情報は2026年7月26日時点のものです。最新情報は各公式サイト・各ショップでご確認ください。







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