飲み会がつらいのは、あなたのせいじゃない|北欧の「気軽に断れる」付き合い方

夕暮れ時を歩く 働き方

乾杯のあと、気づくと会話の輪の外にいる。
あまり気乗りしない社内の飲み会にも、参加しないと何を言われるかわからない。
お酒も得意ではないのに、いつも飲み放題料金。
職場の飲み会で、そんな時間を過ごしたことはありませんか。

私はあります。お酒はほとんど飲めませんし、大勢でわいわい話すのも得意ではありません。

話に入るタイミングを探しているうちに、話題はもう次へ。
ウーロン茶のグラスばかりが減っていきます。

それでも「お先に失礼します」がなかなか言えず、2次会、3次会へ。少ししか飲めないのに、断りきれずに口にしたお酒が翌朝まで残って、仕事がはかどらない……なんて日もありました。

お酒も苦手なのに、3次会まで行ってしまったら、出費もバカになりません。

これでは、楽しく交流できるはずの飲み会が、全然楽しめなくなってしまいます。

飲み会すべてが嫌いなわけではないんです。
ほしかったのは、気軽に行けて、気軽に断れる、そんな雰囲気でした。

そんなとき、北欧の職場の話を知りました。北欧にも飲み会はあります。
ただ、日本とはずいぶん「空気」が違うようなのです。

今日は、北欧の人たちが職場の仲間とどう付き合っているのかをのぞいてみます。

明日からできる小さな工夫もまとめました。

  • 行く日は帰る時間を先に決めておく
  • 大人数が苦手なら、「隣の1人」とだけ話す
  • 断る日は、理由を短く
  • 自分から、勤務時間内の交流を提案してみる

飲み会がつらいのは、あなたのせいではないのかもしれません

Image by bridgesward from Pixabay

まず、日本の職場の飲み会を少しだけ分解してみます。

  • お酒が中心にある
  • 大人数で集まる
  • 仕事が終わったあとに、長い時間
  • 建前は自由でも、実際は断りにくい

この4つが、ひとつのセットになっていますよね。

飲めない人は「お酒」でつまずき、大勢が苦手な人は「大人数」でつまずきます。

子育て中の人は「仕事のあと」がつらいでしょうし、どれも平気な人だって、「断りにくさ」にはちょっと疲れてしまいます。

つまり、飲み会がつらいのは、あなたの付き合いが下手だからではなく、合わない要素がセットでついてくるからなのかもしれません。

では、北欧ではどうなっているのでしょうか。

北欧で「仕事帰りの一杯」が少なめな3つの理由

北欧での「飲み会」は、日本とはちょっと違うようです。

上司や同僚と毎週のように飲みに行く、という付き合い方は日本ほど一般的ではないようです。理由は大きく3つあります。

1. お酒が、とても高い

北欧はお酒の値段が高いことで知られています。

EUの統計局(Eurostat)の調べでは、フィンランドのお酒はEU平均より107%高い、つまり約2倍の値段です。さらにアイスランドとノルウェーは、EUのどの国よりも高いとされています。

理由の多くは、高い酒税です。「とりあえず生で」と気軽に頼むには、ちょっとお財布が痛い国なんですね。

2. お酒を買える場所と時間が、限られている

スウェーデンでは、アルコール度数が3.5%を超えるお酒は、普通のビールやワインも含めて、「Systembolaget(システムボラーゲット)」という国が運営するお酒の専門店でしか買えません。

しかもこのお店、日曜日はお休みで、土曜日も早めに閉まります。

お酒を手に入りにくくして、飲みすぎによる害を減らす。そんな国の方針があるのです。

ノルウェー、フィンランド、アイスランドにも、同じような国営のお酒の店があります。

国全体で、お酒とほどよい距離を取る仕組みができているといえそうです。

3. 仕事が終わったら、自分の時間

北欧は、働く時間が短い国としても知られています。

OECD(先進国が加盟する国際機関)のデータでは、たとえばノルウェーの1年間の労働時間は、日本より約190時間短いとされています。

パートタイムで働く人も含めた平均の数字ですが、それでも差は小さくありません。

そして北欧では、「仕事が終わったら、その先は自分の時間」という考え方がとても強いのです。

4.夕方以降はプライベートの時間

ノルウェーでは、夕方4時ごろになると、会議の途中でも帰り支度を始める人がいると言われます。

保育園のお迎え、子どもの習い事の送り、家族との夕ごはん。

仕事の後は、自分のための趣味や運動の時間。

仕事が終わったら帰ることが、ごく当たり前だそうです。

一方、日本ではどうでしょうか。

自分や家族の予定で飲み会を断るとき、どこか申し訳なさそうに、小さな声で言っていないでしょうか。

北欧では、家族の用事はわがままではなく、普通の理由。ここに、大きな違いがあるように思います。

断る理由をあれこれ考えなくていい。

「今日は家族と過ごすので」で話が終わる。それだけで、ずいぶん気持ちがラクになりそうですよね。

それでも、北欧にも飲み会はあります

Image by OurWhisky Foundation from Pixabay

ここまで読むと「北欧には飲み会なんてないのかな」と思えてきますが、北欧にもお酒の出る職場の集まりはちゃんとあります。

国職場の集まり
🇸🇪 スウェーデンアフターワーク(仕事帰りの一杯)、ユールボード(クリスマスの食事会)
🇩🇰 デンマーク金曜の職場バー、クリスマスの食事会
🇫🇮 フィンランドピックヨウル(小さなクリスマス会)

とくにデンマークでは、金曜の午後に職場でお酒を楽しむ習慣があるなど、お酒の場は多めと言われます。

では、日本と何が違うのか。

いちばんの違いは、断りやすさと、飲まない人への気づかいにあるようです。

スウェーデンの労働組合の弁護士は、職場の集まりについてこう話しています。

人は、勤務時間に仕事をするために雇われている。
(スウェーデンの職場環境専門メディア「Allt om Arbetsmiljö」2022年12月の記事より)

スウェーデンでは、勤務時間外の付き合いに会社は参加を強制できない、という考え方が基本にあるのです。

また、スウェーデンの職場向けの情報サイトでは、クリスマス会にはノンアルコールの飲み物をたっぷり用意しましょうと呼びかけています。

飲む・飲まないは本人が決めること。
しつこくすすめるのは、大人のふるまいではない、というわけです。

行ける日は楽しく参加する。行けない日は、気にせず断る。
お酒が飲めない人も、そのままでいられる。

北欧の飲み会は、いわば「自由参加」が本当に自由なのです。

飲み会の代わりに、北欧の人はどうつながっているのか

「でも、飲み会に行かなかったら、職場で浮いてしまわない?」

そう心配になりますよね。

でも北欧の人たちは、飲み会とは別の形でちゃんとつながっています。

勤務時間内の「フィーカ」

スウェーデンには、午前と午後に同僚とコーヒーとお菓子を楽しむ「フィーカ」という習慣があります。

勤務時間の中で、15分ほど。当然お酒はありません。

この時間は、みんながコーヒーとお菓子を片手に、楽しくコミュニケーションをとります。

こういう時間が普段からあるので、わざわざ夜に交流する必要がないわけですね。

職場のイベントは、勤務時間中に

スウェーデンの会社で働く日本人の方によると、会社が主催するパーティーや集まりは勤務時間中に開き、その間もお給料が出ることが多いそうです。

日本の「残業代の出ない夜の飲み会」とは、そもそもの前提が違いますね。

「友だちと過ごす時間」を、会社が応援する例も

2026年には、スウェーデンの薬局チェーンが、社員が勤務時間のうち月1時間を、友だちと過ごす時間に使えるという試みを始めて話題になりました。

もちろん、これは1社の試験的な取り組みで、北欧全体の制度ではありません。

ただ「人とのつながりは、職場の中だけで作らなくていい」という考え方が表れていて、おもしろいなと思いました。

日本で、明日からできる小さなこと

とはいえ、日本の職場の空気をいきなり変えるのは難しいですよね。

私たちにできるのは、手の届くところからです。

飲み会がつらい人が明日からできる工夫を、行く日・断る日・自分からの3つの場面に分けてまとめた図

行く日は、「帰る時間」を先に決めておく

ずるずる2次会、3次会へ……を防ぐいちばんの方法は、行く前に決めておくことだと思います。

「今日は1次会まで」と自分の中で決めておく。

できれば最初に「明日早いので、1次会で失礼しますね」と伝えておく。

先に言っておけば、帰るときの気まずさがぐっと減ります。

大人数が苦手なら、「隣の1人」とだけ話す

大勢の会話に入れなくても、大丈夫です。

隣や向かいの1人とゆっくり話せたら、それで十分だと思います。

全員と話そうとしなくても、立派な参加ですよね。

せっかく参加したのであれば、一人でも二人でも交流してみる価値はあります。

断る日は、理由を短く

断るときの理由は、長く説明するほど言いにくくなります。

「今日は家の用事があるので、すみません」くらいで十分です。

北欧の人たちがそうしているように、家族や自分の予定は、それだけで十分な理由です。

自分から、勤務時間内の交流を提案してみる

待っているだけでなく、自分から「飲み会以外の集まり」を提案してみるのも一つの方法です。

たとえば、こんなことから。

  • 午後の15分、近くの席の人を「コーヒー飲みませんか」と誘ってみる
  • 歓迎会や打ち上げを、夜ではなくランチ会にしませんかと提案してみる
  • 差し入れのお菓子を囲んで、少しだけおしゃべりする時間をつくる

飲めない人も、早く帰りたい人も、子育て中の人も参加しやすい集まりです。

北欧のフィーカは、まさにそんな「みんなが来やすい集まり」のお手本なんですね。

たった一人の提案でも、「こういう集まり方もいいね」と思う人は、案外まわりにいるものです。

会社の雰囲気は、そんなところから少しずつ変わっていくのかもしれません。

まとめ|行ける日は気軽に、行けない日も気軽に

北欧にも飲み会はあります。

けれど、そこには「行かなくてもいい」「飲まなくてもいい」という空気がありました。

  • 北欧でお酒が身近すぎないのは、値段・買える場所・働き方の3つが関係している
  • 夕方は家族の時間。家族の用事は、普通の断る理由
  • 人とのつながりは、フィーカや勤務時間内の集まりでもつくれる
  • 違いは、飲み会があるかないかではなく、気軽に断れるかどうか
  • 日本でも、勤務時間内の小さな集まりを自分から提案することはできる

飲み会がつらいと感じるのは、あなたの付き合い下手のせいではないのかもしれません。

合わない要素を、少しずつ外していけばいいのだと思います。

行ける日は、気軽に行く。行けない日も、気軽に断る。みんなが楽しめる。
そんな付き合い方が、日本の職場にも広がっていくといいですね。

もしかしたら、あなたのそんな小さな一歩が、他の人も同じように感じている、その助けになるかもしれません。
会社の文化や日本社会を変えていく一歩になるかもしれません。

なにより、お金も時間もあなたのものです。
心がすり減るものにわざわざ消費する必要はありません。
あなたの人生は、あなたのためにある。

まずは明日の午後、同僚をコーヒーに誘ってみるところから始めてみませんか。

一息ついて、がんばりましょ🍀

Fikaな暮らしでいいじゃない☕️

参考

  • Eurostat「Comparative price levels for food, beverages and tobacco」(お酒の価格水準)
  • ノルウェー統計局(SSB)「Stabilt prisnivå i Norge relativt til Europa」(2025年6月20日)
  • スウェーデン議会(Riksdagen)動議 2024/25:594(Systembolaget の営業時間)
  • OECD 年間実労働時間(数字はサイト内「ノルウェーの子育て・教育・働き方」の記事と統一)
  • The Social Guidebook「The Norwegian Workday」
  • ESG Times「北欧式労働環境とは?」
  • IDEAS FOR GOOD(2026年2月4日)スウェーデンの薬局の「友情休暇」
  • Allt om Arbetsmiljö「Inget måste att vara med på firmafesten」(2022年12月2日)
  • Lawbox「Att tänka på inför julfesten med jobbet」

※記事内の制度・数字は2026年10月時点で確認したものです。国や会社によって事情は異なります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました